蒼衣鈴あらすじ3

○衣鈴(3)
天文学者で科学館で働いていたこともある明日歩の父、総一朗に話を聞くと、閉館から4年経ち、残っている設備は扱える技術者が少ない投影機のみだという。まだ使える状態であるため館長が定期的に整備していると聞き、天クルは総一朗から館長に連絡をとってもらうように頼む。(本当の閉館理由は資金問題であり、館長が退職したというのは単なる噂だった。)明日歩を天文に関わらせたくない総一朗は迷うが、天クルのために協力してくれる。

衣鈴に科学館のプラネタリウム南天の星空を見せると告げると、衣鈴はプラネタリウムの想い出を語り始める。
 閉館セレモニーが終わったあと、名残惜しさに泣いていた衣鈴に話しかけたのは、上がり症でセレモニーに姿を見せなかった館長だった。館長に投影機の中の恒星投影球を見せてもらい、衣鈴は「宇宙を見た」と感じた。
洋は衣鈴が天クルを辞めようとしていると勘付き、一つの賭を申し入れる。「洋が衣鈴にプラネタリウムを見せる代わりに、衣鈴の望遠鏡を洋が修理する」館長の願いが「衣鈴が雲雀ヶ崎の星空を好きになること」だという確信があったから、そして洋も同じ気持ちだったからこその賭であった。

総一朗から、衣鈴の両親が総一朗の元同僚の天文学者で、7年前に雲雀ヶ崎に越してきたと聞く。その前はオーストラリアに勤めており、衣鈴もそこの研究員と仲良くしていたが、鈴葉の体が弱かったため日本に移ることになり、衣鈴はとても落ち込んだという。衣鈴は別れを恐れるようになり、集団行動や友達を作ることを嫌うようになった。

孤独に慣れていたつもりだったのに、皆と距離をとって寂しさを感じている衣鈴。10月14日の日曜日にプラネタリウムの準備ができ、洋は衣鈴を連れて行く。館長のアナウンスによる南天の星空の鑑賞が始まり、別れの辛さを思い出す衣鈴に、洋は「次は本当の南天の星空に連れて行く、衣鈴が好きだから」と告白。衣鈴はそれにキスで応える。一方洋は、館長の声からそれが自分の父親であると気付き、衣鈴への願いを父親から自分が引き継ぐと決意する。