蒼衣鈴あらすじ2

○衣鈴(2)
10月1日になって、部員の努力により多少衣鈴との距離は縮まったものの、依然として衣鈴の態度は天クルとは距離を置くものであった。ヒバリ祭一週間前となり、天クルの出し物である南天の星空を映す自作プラネタリウムの準備も着々と進んでいたが、衣鈴はそれにも消極的。

その夜、いつものように衣鈴の天体観測に洋も付き合う。衣鈴が席を外した時、洋は衣鈴がどの星を見ているか興味を持ち、「許してくれるだろう」と軽い気持ちで望遠鏡を覗いてしまう。そこで洋が見たのは、何も映さない暗闇であった。望遠鏡は壊れていたのだ。
衣鈴に問うと「想い出の星空を映さないのなら、暗闇でも同じ」と答える。そして「いずれこうなると知っていたから、私は怒っていません」「現状維持、私たちの関係は何も変わっていない」と言われ、天クル入部や笑顔を見せるようになって衣鈴との距離が縮んでいたように見えて、洋は衣鈴にとって最初から他人のままであったという事実に、洋はショックを受ける。

結局、衣鈴はヒバリ祭で天クルの出し物に全く参加しなかった。そのままヒバリ祭が終了して10月10日。相変わらず衣鈴は部活に参加しない。天クルの次の目標は、年末にコンクールがあるオーロラ写真の撮影となった。そこから科学館のプラネタリウムで上映されていたオーロラの話題となり、興味を持った洋は帰り道に科学館跡を訪ねてみる。そこで偶然に衣鈴と出会い、衣鈴に無理矢理同行して港へと向かった。衣鈴は夕方の水平線、南天の星空に輝くオーロラを思わせるその風景を見ていたのだった。自ら距離を置こうとする衣鈴に対し、洋は衣鈴が好きになりかけていることを自覚し、どうしても衣鈴と一緒にいたいと考え始める。

翌日、天クルはこももに屋上の使用を週1回から毎日にして貰えるよう要望を出し、こももは関係者への説得材料として理由亡き部員の欠席をなくすこと、つまり衣鈴が部活に参加することを条件に出してくる。衣鈴を部活に出すため、天クルでオーロラの再現を計画するが、大がかりな設備が必要であるため、閉館した科学館が使えないかと考える。